嘘をついてはいけませんか?

「嘘をついてはいけません」

私たちは子どもの頃から、呪文のようにそう教えられて育ってきた。嘘をつくことは悪であり、泥棒のはじまりだ。

正直であることが正義だと。

 

そう教えられて育ってきた。

 

​もちろん、それは間違いじゃない。自分の保身のために平気で人を騙したり、人を傷つけたりする嘘は、やっぱり許されるものではない。

 

​でも、育児において考えると100%悪とも言い切れないよね?と思うのだ。

世の中のすべての「嘘」が、そんなに100%悪者なのだろうか? と。

​例えば、誰かの陰口や悪口を聞かされたとき。それをわざわざ本人に「あの人があなたのことこう言ってたよ。私嘘つかないから」

と告げ口することが、本当に「正直で正しいこと」なのだろうか?

​むしろ、「ううん、何も言ってなかったよ」と笑ってその場をやり過ごすほうが、余計な火種を作らず、誰も傷つけずに済む「優しい嘘」だったりする。

​嘘つきの定義でいくと、前者は正直者で後者が嘘つきだ。

 

つまり、嘘には「汚い嘘」だけでなく、人間関係を円滑にするための潤滑油であり、誰かを守るための防波堤のような嘘も存在するのだ。

なので一概には嘘付きは悪とも言い切れない。

 

​本当のことを言えば怒られると思い込んで、バレバレの嘘で必死に取り繕う子供。

 

​大人の目から見れば「そんなのすぐバレるよ」という稚拙な嘘であっても、それは彼らが社会を生き抜くために手探りで覚えた、小さな防衛反応だったりするのだ。

 

例えば、何度も廊下を走る子に、廊下を走るな!と、頭ごなしに言っても伝わらない。

 

そもそも2度3度繰り返している時点で、廊下を走るなの意味が理解できていない。

 

そもそも禁止していることの多くは

「危ない」

 

これ以外にあまりないのだ。

 

大人たちは君たちに、健康で健やかにすくすくと育ってほしくて、あれやこれやと禁止事項を色々出しているのだよとちゃんと説明する。

 

それでも、うっかり忘れちゃうこともあるけど、例え話を身近な人に置き換えて説明する。

 

​「嘘をついてはいけない」という綺麗事だけでは、大人の世界も子どもの世界も回らない。

​・誰かを傷つけないための嘘

・人間関係の摩擦を減らすための嘘

・自分や大切な人を守るための嘘

 

この理由があってついた嘘があるならば、墓場まで持っていけと、言い続けている。

 

正直に何でも話ししていいのは家族にだけなんだと。

 

家族に嘘をついていたら、守れることも守れなくなる場合がある。

そんな話をよくしている、そんな中でのエピソード。

 

みやこさんが小3の時の話。

 

近所に犬猿の仲の女の子がいた。

とにかく仲が悪い。毎年大喧嘩に発展し、年に一度は学校から電話がかかってくる。

その時の担任の先生は若い女の先生でした。

 

下校してくるなり

「今日、あいつとけんかしました。死ねブスと言いました。今から学校から電話がかかってきますごめんなさい。」

 

と告げられた。

 

おん?おーおーおーおー、よしわかった!

何でその言葉を言ったの?

 

「言われたから同じ言葉を言い返した。」

それであとはいつも通りの喧嘩?

 

「うん。」

 

とまぁものの2分ぐらいで聞き取りは終了

 

そして小学校からの電話。

 

「今日、2人がけんかをしてしまって……。

それで、みやこちゃんに私が『「死ね、ブス」って言ったの?』と聞いたんです。

そしたら、

『言いました!!!』

​って、はっきり言ってくれたんですぅ……!

それが嬉しくて私、思わず泣いてしまって。

『正直に言ってくれてありがとう』って泣きながらですが褒めたんです。

​そしたら、その様子を見ていた相手の子も、

「え? 正直に言ったら褒められるの?』

と思ってくれたみたいで、

『……私も、言いました』

って打ち明けてくれたんです。

​みやこちゃんが嘘をつかずに素直に話してくれて、無事に仲直りできました。

お母さんも、ぜひたくさん褒めてあげてくださいね!」

 

と、電話があった。

 

え?は?

 

実はこの先生、こんな感じで少し変わっていて、母たちの間では 評判が悪く、いい噂を聞かなかった。

しかし私はこの一件以来、この先生の株は爆上がりで、悪い噂を聞くたびに訂正して歩いた。

 

​子供はトラブルを起こしたとき、普通は怒られるのが怖くて「やってない」「言ってない」と嘘をつきがち。

 

先生は、「子どもたちが恐れずに本当のことを言えたこと」が嬉しかったのかな?と思う。

​先生は「喧嘩をしたこと」「暴言を吐いて傷つけたこと」そのものを大げさに叱りつけて終わらせるのではなく、「正直に白状した勇気」にスポットライトを当てて褒めてくれた。

暴言を吐いたことは2人とも悪いことではあるが、

「本当のことを言って、認めてもらえた」という成功体験を子どもたちにプレゼントしてくれた。

それはとても有難いことだと心底思った。

 

この先生は、表面的な「お行儀の良さ」や「喧嘩をしないこと」よりも、「自分のやったことと向き合い、嘘をつかずに『ごめん』や『本当のこと』を言える強い心」を何よりも大切にしている人なのかな。

寧ろこれが教育の基本だと私は思っていて、素晴らしい先生だな、ずっとそのままでいてねと強く願っている。

汚い言葉を使ってしまうこともあるだろう

言ってしまったことはちゃんと謝りなさいね

何度注意されてもやってしまうこともあるだろう

やってしまったことも素直に謝る

お茶をこぼされても怒らなくていい。きれいに拭いて元通りにしてくれたらいいんだよと言えば、お茶をこぼして固まる子も減るだろう。

 

その都度、頭ごなしに叱るのではなく、淡々と理由を説明していけば物事の本質をわかってくれる子供に成長すると信じている。

 

子供に嘘をつかせているのは

私たちなのかもしれない。

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